ベンチャー経理見聞録

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見積もりの難しさ

12月7日、東芝の一連の騒動に対する制裁が証券取引等監視委員会から下りました。前々からちらほら報道はありましたが、7,373百万円とのこと。


東芝の利益水増しの件については詳細明るくないので控えさせていただき、課徴金の引当金について思う事を書いていきたいと思います。

平成27年3月期の有価証券報告書(これ、IFRSなのね。。)の注記15には、「この過年度の不適切な会計処理の訂正に伴う課徴金の見積額として8,427百万円が計上されております」と記載されています。見積もり誤差11億円も出ちゃうのか。。益方向とはいえ、もうちょっと精度上げられなかったのか。。と考えてしまいます。
日本全国にとどまらず世界も注目してたニュースであったのに、どうしてそんなやすやすと誤差出しちゃうんですかねーと。当事者ではないので他人事のようですが。。。

会計上の見積は、必ずしも事実基づかずに暫定的な会計処理を行うものなので、会計上も監査上もトピックになり得ます。とくに今回のようにPLヒットしてしまうと、株価に響いてくるので、監査法人側も慎重になるはずです。11億の見積差異がどうして発生してしまったのか、会社側と監査側から考えてみたいと思います。

証券取引等監視委員会のページに載っている課徴金の計算方法を要約すると、以下の通り。

(1)金商法172条の4「継続開示書類の虚偽記載等」に則り、平成24年3月期、平成25年3月期の課徴金は時価総額の0.006%(92百万円および81百万円)
(2)金商法172条の2「発行開示書類の虚偽記載等」に則り、平成22年12月から平成25年12月までの発行登録追補書類に基づく募集では、有価証券の発行価額の総額の2.25%が課徴金の額となる。対象の募集は5つあり、それぞれ2,700百万円、675百万円、2,025百万円、675百万円、1,125百万円。

「継続開示」とは、すでに証券市場に流通している有価証券の(潜在的)保有者に対してオープンにされるもので、いわゆる有価証券報告書です。潜在的保有者も含まれるので、私でも子供でも誰でも見ることができます。
「発行開示」とは、有価証券を新規に発行し、お金の提供者を新しく募ろうとするときに提出する有価証券届出書(等)で、確か投資を申し込んだ人が証券会社のホームぺージ等で見れるものだと記憶しています。

会社は11億引当金を過大計上していますが、おそらく課徴金対象となった発行開示の対象が不明瞭なところがあって、保守的に1つ多めに含めたのではないか、と推察します。対象の5つの前後に50億くらいの募集があれば、50億×2.25%=11億ですので、いい感じにおさまる。事実かどうかはわかりかねます。免責事項!!!

しかし保守的だから許されるわけでは当然ないのです。会社はしっかり規制当局と連携しあい、どこまでが課徴金対象なのかしっかり握っておくべきだったし、監査法人側も発行開示書類の監査やコンフォートをしているのだから、明確に指摘するべきだったのでは。。

〜ここまで勝手な妄想です〜
部外者の立場ですが適当に言及してみました。

今度監査法人側の立場からも少し考えてみたいと思います。

(この記事は貴重な修了試験の勉強時間を55分割いて書かれました。修了試験まであと11日!!!)